椎骨脳底動脈循環不全(VBI)
椎骨脳底動脈循環不全(VBI)とは
椎骨脳底動脈循環不全とは、椎骨脳底動脈という血管の血流が悪化することにより、脳幹や小脳へ充分な血液が送られなくなって、めまいなどの発作が起こる症状です。
椎骨脳底動脈とは、椎骨動脈と脳底動脈のことです。椎骨動脈は、首の左右にある血管であり、椎骨動脈が脳の下部でまとまったものが脳底動脈です。
椎骨脳底動脈は、人間の後頭部に血液を運ぶものですから、椎骨脳底動脈循環不全が起こると、後頭部の血液が足りなくなり、症状が起こります。
椎骨脳底動脈循環不全が生じるのは、交通事故によって頸椎を負傷したケースです。
頚椎の骨折や脱臼、ヘルニアなどによって椎骨動脈が圧迫されると、この症状につながります。
椎骨脳底動脈循環不全の症状
<主な症状>
めまいー主な症状です。回転性めまいや浮動性めまい、目の前が真っ暗になるめまい発作が発生することもあります。
その他は、
頭痛・吐き気、嘔吐・眼のかすみ、物が二重に見える・耳鳴り、難聴・平衡感覚の異常・下のもつれ・手足のしびれがあります。
めまいを始めとした発作は、首を反らしたときや、首を動かしたりしたときに起こりやすいです。
椎骨脳底動脈循環不全が疑われるときには、神経内科や脳神経外科、耳鼻咽喉科を受診する必要があります。症状はむちうちと似ていますが、受診機関はむちうちと異なり、整形外科ではないので注意しましょう。
椎骨脳底動脈循環不全の治療・検査方法
椎骨脳底動脈循環不全の主な治療方法は、脳循環の代謝を改善する薬や鎮痛消炎薬、抗めまい薬などを使った薬物療法です。頸椎に異常が発生している場合には、手術を行うケースもあります。
症状を明らかにするための検査としてはレントゲン撮影やCT画像、MRI画像などの画像検査を行います。
特に、MRI撮影によって血管を撮影するMRA検査が重要です。
それ以外にも、平衡機能検査、聴力検査や自律神経についての問診・血圧テスト、神経学的検査などを行いますし、脳幹や小脳の状態を調べるための、ETTという検査を行うこともあります。
椎骨脳底動脈循環不全で認められる後遺障害の等級
椎骨脳底動脈循環不全となった場合、人によっては完治することもありますが、後遺障害として症状が残るケースもあります。その場合、程度に応じて後遺障害等級が認定されます。認定される可能性のある等級は、3級~14級までと幅広いですが、他の症状と相まって後遺障害認定を受けることが多いです。
椎骨脳底動脈循環不全の症状が残ると、めまい発作などが起こって日常でも悩まされるものです。まずは、耳鼻科や神経内科を受診して、その後、後遺障害認定のためには弁護士に相談されると良いでしょう。