胸郭出口症候群
胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群とは、「胸郭出口」という部分において、頸椎から腕へと走っている腕神経叢(神経の束)と鎖骨下動脈が、圧迫されたり引っ張られたりして(牽引)、上半身の痛みやしびれを引き起こす症状です。
胸郭出口は、一番上の肋骨の部分です。
一般的に、胸郭出口症候群になりやすいのは、男性なら筋肉質の人、女性ならなで肩の人が多いです。
そして、交通事故に遭ったときにも、これらの神経や血管は、鎖骨や第一肋骨、筋肉などに圧迫されたり引っ張られたりすることがあるので、胸郭出口症候群になってしまうことがあります。
胸郭出口症候群の症状
胸郭出口症候群の主な症状は、以下のようなものとなります。
主な症状は、腕から肩にかけての痛みやしびれです。首や肩のこりが発生することも多く、チアノーゼや冷感、発汗や吐き気、頭痛などが発生することもあります。
胸郭出口症候群の治療方法
胸郭出口症候群になった場合の当初の治療方法は、保存療法です。
装具をつけて圧迫や牽引を防いだり、斜角筋ブロックや温熱療法をしたり、ノイロトロピンなどの薬物を投与したりします。
それでも効果がないときには、外科手術を行うこともあります。
手術では、神経を圧迫している第一肋骨や頸肋という部分を切除したり、前斜角筋を切除したりして、圧迫や牽引の原因を除去します。
胸郭出口症候群で有効な検査方法
胸郭出口症候群でよく使われているのは、誘発テストと画像診断です。
誘発テストは、体の特定の部分に特定の刺激を与え、その反応を見る検査です。
モーレイテスト、アドソンテスト、ライトテスト、エデンテスト、ルーステストの5つがよく利用されます。
画像検査としては、レントゲン検査や血管造影検査を利用します。
胸郭出口症候群で認定される後遺障害の等級
胸郭出口症候群で認定されやすい後遺障害の等級は、14級9号ですが、12級13号が認定されることもありますし、9級10号が認定された例もあります。
胸郭出口症候群の難しさ
さまざまな検査手法を使っても、交通事故によって胸郭出口症候群になったことを証明することは簡単ではありません。
そもそも、医師が胸郭出口症候群を見逃してしまうことがあります。
また、もともと筋肉質やなで肩などの身体的特徴がある人が、心因的な原因などによって胸郭出口症候群になることがあり、そうした場合には交通事故との因果関係も問題となります。
さらに、誘発テストは必ずしも信頼されているとは言えませんし、画像診断については、健常な人でも異常が写ることがあるので、やはり完全な検査方法にはなりません。
このように、胸郭出口症候群で後遺障害として認定されることには困難を伴うことが多いです。
確実に認定を受けるためには、交通事故専門弁護士まで、ご相談下さい。