脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)

脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)とは

脳脊髄液減少症とは、脳や脊髄の膜である硬膜やくも膜が損傷を受けることにより、内部の髄液が外に漏れ出してしまう症状です。

脳と脊髄は、硬膜という膜で覆われており、その中には髄液という液体が入っており、脳の内側の圧力は、常に一定に保たれています。ところが、交通事故によって頭部に損傷を受けると、頭蓋骨の中の硬膜が損傷を受けて、髄液が漏れてしまうのです。そうなると、脳圧が一定に保たれなくなるので、さまざまな症状が発生します。
脳脊髄液減少症は、脳圧を減少させるので、低髄液圧症候群とも言われます。

 

脳脊髄液減少症の症状

脳脊髄液減少症になると、以下のような症状が発生します。

  • 立ち上がったときの頭痛・視力低下、聴力低下・首や肩の痛み・めまい、耳鳴り
  • 吐き気・倦怠感(疲れやすい)

脳脊髄液減少症の治療方法

脳脊髄液減少症となった場合、交通事故直後の段階では、まずは2週間程度、安静にして十分な水分摂取を行います。点滴をすることもあります。

1ヶ月が経過しても改善しない場合や、安静や水分摂取では良くならない場合には、ブラッドパッチという方法で治療をします。ブラッドパッチとは、髄液が漏れている場所に患者自身の血液を入れて、血液を凝固させることにより、髄液の漏れを止める治療法です。

 

脳脊髄液減少症と後遺障害認定

脳脊髄液減少症は、最近になって、ようやく認められてきた症例です。
つい最近までは、裁判でも、否定的な判断が続いていました。

ただ、平成22年4月、厚生労働省が、脳脊髄液減少症に関する検査に対し保険を適用すべきという見解を示しました。また、平成23年10月14日には、脳脊髄液減少症の画像診断基準とその他の基準も発表しています。
このような国の動きを受けて、平成23年からは、裁判所でも脳髄液減少症を認められるようになっています。

認定される等級としては、9級、12級、14級が多いです。

等級 内容 後遺障害慰謝料 労働能力喪失率
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 690万円 35%
12級13号
  • 局部に頑固な神経症状を残すもの
290万円 14%
14級9号 局部に神経症状を残すもの 110万円 5%

脳脊髄液減少症は、比較的最近になって認知された症状ではありますが、今や厚生労働省による認定基準も明らかにされており、後遺障害として認定を受けられる症状となっています。適切に後遺障害認定を受けるには、弁護士のサポートが必要ですので、あてはまる症状がある方は、是非とも一度ご相談にお越し下さい。


 

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